黒の村娘といにしえの赤鬼
「短期間でここまで華やかになるとは…時雨様に愛されている証拠ですね」

「そういうものなの?」

「はい。あぁ…祝言を挙げる日が待ち遠しいですね」

「祝言か…」


祝言…それは半年後に挙げる事が決まっている。
私は嫌で嫌で仕方ないのだ。

生まれた時から時雨の許嫁だったとはいえ、私の気持ちを無視して勝手に話を進めてしまうなんて…。

それに時雨と会うのはひと月に数回くらい。
こんな調子で半年過ごすなんて…。
お互いをよく知らないのにこのままでいいのだろうか。

…でも結局同じか。
時雨のことを知らなくても夫婦になるのは避けられないことだもんね。
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