ENGAGE RING 〜狂気的なホテルオーナーと激甘な御曹司に愛されて〜
 ーー必要なものを買い揃え、悩んだ末に選び抜いた一品をハンドバッグに入れて、いざ、船上へと足を踏み入れる。


 慧さんの付き人として、何度か夜会には参加しているけれども、船上は初めてだ。


 日本、中国、韓国、イタリア、フランス……
様々な国の、豪勢な食事がシルクナプキンのテーブルの上に並べられており、見渡す限り、着飾った美女や美男子。


 ダイヤモンド、ルビー、エメラルドなどの
眩いほどの輝きを放つ、宝石の数々。


 黄金の光が射し込む中、アハハ、ウフフと飽きもせずに話し続けているご婦人たちは凄いな、とどこか敬いの感情が芽生えた。


 ああ、ダメだ萎縮する。
どう考えても場違いだわ。庶民感が半端ねぇ。

普段はほら、慧さんが隣にいてエスコートしてくれるから余り浮かないけれど、今は……

例えれば、蝶の中に蟻が一匹紛れ込んだようなもの。

けれどここで引いてはいけないよなぁ……


 誰に言い訳をしているのか、私は必死に自分の存在意義を張り巡らせて、会場の隅っこの方に縮こまっていた。


「皆様!ようこそ、お越し頂きました!

華やかなるパーティーを開催する前に一言、高宮家の次期当主から祝辞の言葉です」


 すると黒の蝶ネクタイに燕尾服、というザッ執事と言う人が『高宮家次期当主、誕生日パーティー』という金色の筆で描かれた甲板の元、大声でそう放つ。


 って、今日は暁人くんの誕生日だったのか!

Ohーー、しまった。
普通に帰国祝いの品を用意してしまったよ。

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