ENGAGE RING 〜狂気的なホテルオーナーと激甘な御曹司に愛されて〜
 思い切りメッセージに『おかえり、日本へ』と堂々とそれも昔練習した達筆で勢いよく書いたコレ、本当にどうしよう。


 私が思案に更けていると、ホゥ、と言う感嘆の声が彼方此方から聞こえるものだから、皆の視線の方向にある舞台に目を向ければ、そこには金髪碧眼の王子様が佇んでいたーー


 ーー暁人君だ。


 そうだあの子、ハーフだっけ……
なんて、なんて美しいんだろうか。

最早、生きているのか心配になるくらいに、この世のものとは思えない。


「皆様、本日は私の誕生日をお祝いして下さるために、遥々と遠いところからお越し下さり、誠にありがとうございました。

ーーそれでは堅苦しい挨拶はこの辺りで、どうぞパーティーをお楽しみ下さい」


 ワァッと盛大な拍手が彼に送られる中、私はただ呆然と彼の美しさに圧倒されていた。

どうやら私の知り合いには、絶世と名のつく人たちが多いらしいーー。


 早いなぁ、速やかに物事を進めていくのは昔から変わらない。

昔は何度も「トロい、早く次の曲」と急かされたっけな。

今から思えば、理不尽な急かし方だった……


 物思いに耽りつつ、私は側に置いてあったシャンパングラスを持ち、口に運ぶ。

流石、本パーティーの主役はとても忙しいようで、どうにも喋りかけようがない。


 仕方ないと思い、場違いな会場からほとぼりが冷めるまでお暇しようと、パーティーを抜けようとしたらーー


「理恵ーー!?」


 突如、オペラ座の楽団もビックリなほど美しい声色の持ち主に、腕を掴まれる。


あちゃーー。恐れていたことが。
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