午前0時のシンデレラ

「……ダメです、恥ずかしいから……」

真っ赤になって、メガネの奥の目を伏せる彼女に、

「……悪かったな…」

と、頭を撫でて、

「……冷えてきただろう? もう帰ろうか」

と、肩を抱いた。

……月明かりだけが落ちる静かな夜の道で、

「……舞踏会の夜に、帰らなければならなかったシンデレラは、どんな思いだったんだろうな…」

ふと呟いた。

「きっと、寂しかったんじゃないかと……」

彼女が応える。

「……そうだろうな。帰るのは寂しかったんだろうな…」

シンデレラが帰る時刻と同じ頃の闇夜が、寂しげにも映る。


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