午前0時のシンデレラ

ーーだが、無理に忘れようとすればする程、仕事があまり手に付かなくもなって、

仕方なく社長室に彼女ーー浅見 栞を呼びつけた。

訪れた彼女が、また上目遣いに見るのに、いたたまれなくなって視線をはずす。

(なんで、俺の方が目をそらしてるんだ……普段、自分から目をそらすことなどないのに……)

そんな風にも考えていると、

「……社長、今日はどのようなご用件でしょうか?」

と、ひどく事務的な口調で訊かれた。

「…え、ああ、あれからどうしたのかと思って……ヒールも、まだないんだろ?」

言って、足元を見ると、彼女はシューズを履いていた。

「……あの、そのようなご用件のために、社長室に私を呼ばれたんですか?」

咎めるようにも聞こえる言い方に、

「……気にかかるんだよ」

と、目を合わせられないままで応える。

「あんな帰り方をされたら……」

続けるのを、

「一条社長、」

と、彼女の声が遮った。



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