午前0時のシンデレラ

ーー名刺交換をしたり、酒を飲んだりしている内に、いつの間にか時間が割りと経っていたことに気づいた。

そう言えば、彼女はまだ戻っていないのか……いくらなんでも遅すぎるだろうと思う。

会場を出て、姿を探す。

庭の方にまわると、佇んで夜風に吹かれている彼女がいた。

薄い紫のドレスがわずかに風になびき、遠目にも宵闇に映えて見えて、見惚れるくらいに麗しかった……。

しばらく立ちすくんでいると、

「あ…社長、いらしてたんですか?」

彼女がこちらを振り向いた。



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