そのプロポーズお断りします!
二次会のカラオケの途中で、
「お先に失礼します。」と抜け出し、約束した『ロマーノ』の前に立って待つけど、
なかなか 田沼さんは現れない。

ずいぶん待って23時を15分過ぎて『ロマーノ』の看板の灯りが消えた所に、
やっと 田沼さんがのんびりした足取りでやってくる。

まだ、酔っ払っているのだろうか?
また、手を掴まれたりしたら嫌だな。と考えていると、

「お待たせ、じゃあ、行こうか?」と私の肩を抱く。

「何処で仕事をするんですか?」とそっと腕を外すと、

「なにいってるの?こんな時間から仕事なんかしないだろ。
駅の向こうのラブホでいい?」

ラブホ?
それって…

「ど、どうして…」

「だって、悠里ちゃんって、俺の事、好きでしょう?
今夜が最後のチャンスだよ。
俺、明日は福岡だし、家族はもう向こうにいってるしね。
君と朝まで一緒にいてあげるよ。」とくすくす笑って私の腕をつかんだ。

「ごっ、誤解です!尊敬してはいますが、好きではありません!」

「尊敬してるって、俺が好きってことだろ。いいから、おとなしくついてきなよ。」

とだんだん乱暴に、私の身体を抱き寄せ、歩こうとする。

私は怖くなって、声がでない。その時、

「待てよ。そいつは嫌がってるだろ。」

と低い怒りを含んだ声が後ろから聞こえた。

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