それでは始めましょう
「ちょ。ちょっと、岩瀬航大さん?」

「はい、何でしょう、月野透子さん」

フルネームで呼べばフルネームで返ってきた。ガンちゃんは本当に私の扱いがうまい。

「あの、近すぎなんで、離れていただけますか?」

「却下!」

即座に拒否され言葉がでない。近くにあるガンちゃんの顔を見ることができずに、怪しく視線をさ迷わせてしまっている私に、

「なぁ、つっきー?嬉しかったのは、オレだから、じゃないのか?」

ガンちゃん、だから?

例えば、『ちゃんと私を見てくれている人』が禿げ課長だったら?

まぁ、嬉しい気持ちもあるだろうけど、その前に『気持ち悪っ!』て思うかも…ごめんなさい、課長。

多分、他の人に、私はこんなに気持ちを出せないだろうし、受け止めてももらえないだろう

「うん…ガンちゃん、だからだね、こんなに嬉しいのは…」

納得しそう答えると

チュッ♪

包まれていた頬を引き寄せられ、おでこに音をたてながらガンちゃんの唇がふれた。

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