晴れのち曇り ときどき溺愛

「四葉が帰国しているとは思わなかった。長田が隆二のところに四葉がいるのを見つけて、上手く話を終わらせてくれた。アイツも気が利くよな。四葉はまだ絵里菜のことを諦めてなかったんだな。しつこいというか…。さっき、両親とか言っていたけど、大丈夫なのか？」


「以前に正式にお見合いの話は来ているが、両親は丁寧に断っている。絵里菜には自分の選んだ人と幸せになって欲しいので見合いはさせるつもりはないと。その話は随分前に終わったのに、まだこんな風に言ってくるとなると、これは絵里菜が正式に結婚するまで終わらないだろうな」


　進藤さんは心底嫌そうな顔をした。絵里菜さんくらいの綺麗な人ならこのようなことも日常的にあるのだろう。だから必要な進藤さんの存在なのだろう。本人も眩いくらいの美しさを持つだけあって、かなりの虫除けにはなる。

　でも、四葉さんの事を追い払うことは出来ないし、絵里菜さんも躱すことしか出来ない。


「どうして私が自己顕示欲の塊のような醜い男と結婚しないといけないのよ。私は自分の人生を自分のために生きたいの。父の娘に生まれたからには少しでも会社のためになる先に嫁ぐのは仕方ないとある程度は諦めている。でも、四葉だけは嫌。顔は不細工だし、あの傲慢な性格がどうしても駄目」


　絵里菜さんは今度は給仕に冷たいシャンパンを運ばせ、一気に飲み干すのだった。