晴れのち曇り ときどき溺愛
「いえ。私は本当に傍に居るしか出来ずに、こういう時にもっとお役に立てればよかったのですが、無理でした」


 ただ傍を歩くだけ、紹介されたら会釈をするだけ。
 
 外国の方だったら軽めのハグをされ、微笑むことしか出来なかった。英語が堪能なわけでもなく、横で流暢に話す下坂さんを見ながら尊敬するしか私には出来なかった。営業にいてスーツで参加するようなパーティには出席したことはある。ずっと営業をしてきたからどうにかなるかもしれないという気持ちが少しは私の中にはあった。

 
 でも、全くそれが通用しなかった。こういうセレブリティが集まるようなパーティは初めてで、圧倒的な雰囲気に飲まれてしまっていた。


「そう。俺の中では満点だったよ」


「私、英語話せないし」

「覚えたいなら俺が教えるよ」

「仕事の取引の話も分からなかったし」

「システム課に来て間もない諸住さんが全て分かるならそれはそれで天才過ぎない?」

「でも…」

「俺の中では満点だからそれでいい?」

 下坂さんとの食事をしながらのお酒はとっても楽しいものだった。二人で空けたワインは二本。結構な飲み過ぎだった。でも、楽しいし、美味しいし、ワインはどんどん喉を潤すように流れていく。仕事の話でもなく、ごく普通の会話をしたのはあのお見合いの日以来で、再会して近くにいるのに、遠くにいるように感じていた下坂さんが近くに感じて嬉しかった。


「諸住さん。大丈夫?そろそろ帰ろうか?」


 
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