晴れのち曇り ときどき溺愛
 下坂さんの言葉に頷き、タクシーに乗り込むとホテルを後にした。

 その辺りから記憶がない。一緒にタクシーに乗って横で下坂さんの優しい声を聞いて…。


 ゆっくりと目を開けると、そこは見慣れた天井で、私のマンションの部屋だった。でも、いつもと違うのは私のベッドに人が寝ているということ。スーツを着たままの下坂さんが私のベッドに寝ている。私はというとまだ、あのドレスを着たままだった。


「起きた?」


 そんな優しい声と共に、下坂さんもベッドから身体を起こした。


「どうしてここに?」


「諸住さんがタクシーの中で寝てしまって、マンションまで送ってきた。マンションの部屋は会社のシステムで知っていたから送って来ることは出来たけど、本格的に寝ちゃっていて、ホテルに連れていくのもどうかと思ったし、俺の部屋に連れていくのもだし、自分の部屋のベッドが一番いいだろうと思って勝手に入らせて貰った。ベッドに寝せて帰ろうと思ったら、いつの間にか俺のスーツの袖を掴んでいて、手を放してくれたら、帰ろうと思ってたんだけど、俺も眠くなってしまって、寝てしまった」


 自分の手を見ると、下坂さんのスーツの袖を今も掴んだままだった。寝ていても放さなかったなんて、自分が信じられない。こんなことは私の人生の中で生まれて初めてのことでどう対応していいのか分からなかった。

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