晴れのち曇り ときどき溺愛
「そう。琉生は何て言ってたの?」

「梨佳に好きだと言ったって。それ以上は琉生も言わなかったし、俺も聞かなかった。まあ、琉生と梨佳の恋愛事情はどうでもいいけど、俺の会社に転職するのをどう思うかだけ聞きたいと思って、今日は梨佳に来て貰ったんだ」

「拳は琉生の話を聞いてどう思った?」

「やっとかって思った。アイツさ、ずっと梨佳のこと好きだったんだ。でも、今の関係を壊したくないって自分に言い訳しながら逃げた。それが吸収合併で席が離れてしまって、自分の中で梨佳の存在の大きさを感じたんだろうな。まあ、これは俺の推測で、琉生は何も言わないけど」


 それは私も一緒で琉生はいつも傍にいて、居てくれるのが当たり前だった。好きな気持ちはある。でも、それは恋愛としてではなく友達としてと言うだけのこと…。私はあのお見合いの時からずっと下坂さんのことが好き。でも、婚約者までいるのでどう足掻いても失恋も確定している。


「そっか、そんなに前からとは思わなかった」

「これは俺のお節介だから」

「え?」


 拳は急に真剣な表情をすると、手に持っていたお箸を皿の上に置いた。


「あの男はやめとけ。あの男と梨佳は住む世界が違う。何度か仕事の関係で会ったことがあるけど、あの男は梨佳には手に負えない。あの男の本当の素性をお前は知らない。下坂春臣は桂川グループの御大の孫で次男でありながら才覚が認められ、グループの後継者と目されている男だ」

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