晴れのち曇り ときどき溺愛
 桂川グループとはたくさんの企業を傘下に持つ企業体で歴史は古く平安の時代まで遡ると言われる由緒正しき家柄である桂川家を中心としている。歴史と文化を重んじ、企業体でありながら利益ばかりを追い求めるというものではなく、国の文化振興にも名を連ねている。

 戦後、華族制の廃止により、一度は没落の一途を辿ったが今の当主である桂川源一郎の才覚でここまでのグループ企業に育て上げたくらいは知っている。今では一企業体ではなく、国をも動かす力があるとさえ言われている。


 その桂川源一郎の孫が下坂さん?そんなこと思いもしなかった。


 先日のパーティでの下坂さんの姿が思い出される。あの日の下坂さんはパーティ用のスーツを着こなし、堂々と皆に挨拶をして回った。育ちがいいのは知っていたけど、私の想像を遥かに超えていた。そして、私の心が深く落ちていくような気がした。


「下坂さんは確かに育ちはいいと思っていたけど、まさか、苗字も違うし、桂川グループの関係とは思わなかった」


「下坂春臣の母親が桂川源一郎の娘だから苗字は違う。それと桂川源一郎には何人もの孫がいるがその中で下坂春臣が抜きん出ているということで、グループ内では同系の進藤家の娘と結婚させ、グループの強化及び後継者として考えている。これは経済界ではかなり有名な話だ」

「下坂さんの出自は私には何も関係ないわ。ただの上司だもの。仕事が出来るのは尊敬しているけど」

「梨佳。関係ないならそれが一番いい」
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