晴れのち曇り ときどき溺愛
 玲奈と常務が兄妹というのもだけど、会社が思惑があっての吸収合併だったということ。玲奈が拳を好きなこと。そのことは琉生も遥も知っているということ。


 仲良く兄妹喧嘩をしている二人を見ながら私の方が溜め息を零したくなった。なんとなくどうでもよくなって私はワインを楽しむことにした。抜栓したワインの瓶がテーブルの横に並んでいく。常務が作ってくれた料理を食べながらワインが進む。


「なんで私は営業補佐になったのかな?琉生に比べたら営業成績は良くないけど、補佐になるほど悪くないと思う。それに全く違う職種だから、分からないことが多すぎて落ち込みました」


「え、ちょっと待って諸住さんが営業補佐?俺が辞める時に聞いていたのとは違う。確か、川添君と一緒に第三営業課だったはずだけど、営業補佐ってどこの?」


 ワイングラスを一緒に傾けていた常務は真剣な顔を私の方に向ける。私は本当は第三営業課だった?それならなんでシステム課に配属になったのだろう。

< 86 / 361 >

この作品をシェア

pagetop