魅惑への助走
 「勉強も大切だけど、今この瞬間の私の想いがどれくらいのものかも、知ってほしいの」


 再び触れ合う唇。


 ためらいながらも結局、上杉くんは私を受け入れる。


 「今だけでいいから。上杉くんがどれくらい私を必要としているのかも、教えてほしいな……」


 まるで私が襲ってるみたい。


 その身を捕らえ、逃れられないように体を押さえつけながら首筋に唇を添えた。


 牙を立てる吸血鬼のごとく。


 ただこのソファーは、上で抱き合うにはかなり手狭なので。


 場所を変え、寝室に移動することにした。


 移動の最中に気が変わって逃げ出したらどうしようかと心配したけれど、首筋に噛み付いた際に毒が回ったのか。


 私に手を引かれるまま、ふらふらと後を付いてきた。


 このような時に備え、さっき上杉くんがシャワーをしている間に、寝室内のまずいグッズは全て押し入れに隠しておいた。


 業務用のアダルトビデオや台本、他には提携会社の人からもらった、大人のおもちゃ(もちろん未使用)まで。


 私が欲求不満解消のために愛用していると勘違いされそうなので、誤解を招くグッズは全て隠蔽。
< 184 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop