魅惑への助走
 その日は日曜日で、仕事が休みだったので。


 日が高く昇っても、そのままベッドの中で過ごした。


 幾度となく指を絡め、唇を合わせ、体を重ね……。


 時の流れも忘れたかのように、互いを求め合っていた。


 最初は遠慮がちに私を受け入れていた上杉くんもだんだん慣れてきたようで、どうすれば私がより深く感じられるかを学んできた。


 「明美とこうしているだけで、何もかも忘れてしまえるよ」


 無邪気に耳元で告げられる。


 「明美が望むのなら、何度でもしてあげる」


 深く求められることが嬉しくて、私も強くその体を抱き返した。
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