魅惑への助走
 「明、……」


 有無を言わさず、唇を塞ぐ。


 腕を絡めて強く抱く。


 ……全て私のほうから。


 上杉くんは私に身を任せているだけ。


 だからもっと本気にさせたくて、ますます過激になってしまう。


 「ま、まずいよこんな所で」


 エスカレートする私を止めるのも上杉くん。


 「嫌?」


 「ていうか、こんな人通りのある場所じゃ」


 「なら、またうち来る?」


 「……」


 「続きは私の部屋でする?」


 「それなら。うん……。何とか」


 「交渉成立」


 気が変わらないうちに、上杉くんの手を引いて私の部屋へと急いだ。


 明日は月曜日で私は仕事だけど、上杉くんはどうせ勉強しかすることがないと言うので。
< 202 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop