魅惑への助走
 「本番行為なしでも、男を悶絶させることはできるの」


 「な、なるほど」


 「稼業が稼業だから、すぐに体を開くと思われがちだけど。私これでもプライベートでは、パートナーとしか体の関係は持たないことにしてるの」


 「それは素晴らしいことです。さすが公私のけじめは、きちんとしてらっしゃる、」


 「ていうか。仕事でたくさんやってるから、日常生活には持ち込みたくないのよね。惚れた腫れただの、面倒くさい」


 そう言い放ってりらさんは大きく煙を吐き、吸殻を灰皿に押し付けた。


 「だからもう何年も彼氏はいないし、当分作る気もないんだよね」


 「今は仕事に専念ですか」


 「まあ、そうとも言えるかもね。AV出てるからってすぐにやらせてもらえると思って、群がってくる男どもを追い払うのに、日々苦労してるけどね」


 「さすが……です」


 「それよりあんた、隙がありすぎ」


 「えっ」


 急に注意されてびっくり。


 「今もだけど、あんた。すぐに男に言い寄られるでしょ」


 「はい……。そう多くはありませんが」


 「やらせろって要求されるでしょ」


 「……」
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