魅惑への助走
 「りらさん。AV女優で終わるのはもったいないです」


 「ん?」


 「あ、その……。AV女優を軽く見ているわけではなくて。りらさんほどの人だったら、AV業界の外でも十分に成功しそうな」


 実際すでにりらさんは、本業であるAV女優の仕事以外に。


 スポーツ新聞のアダルトページや成人雑誌で、コラムや悩み相談コーナーの連載を持っている。


 深夜番組にも出演して、番組のご意見番みたいなポジションを得ていたり。


 「実際問題。今の仕事はこの先十年も続けられるものじゃないから、そろそろ次の人生設計をしておかなければとは思ってる」


 私と一つしか違わないのに、りらさんはAV女優としてはもうベテランで、引退後の人生についてあれこれ考えている段階。


 ようやく私は今の仕事に慣れ、軌道に乗ってきたばかりなのに。


 「あんたたちみたいに立派な大学行ってないし、これといった資格も持ってないし。できる仕事って限られちゃうんだよね」


 「でも。コラムや番組でのあのキャラクター。りらさんの代わりは誰にもできません」
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