魅惑への助走
 「現れるでしょうかね。りらさんをそこまでさせる人」


 すでに世にいる人気男優たちとも違う、まだ見ぬ誰か。


 「SWEET LOVEでも探してるんでしょ? 社の行く末を委ねられるような、絶対的エースとなるべき男優を」


 「ええ。これまたなかなか、巡り会えずにいますが」


 SWEET LOVEが高望みしすぎなのか、未だに松平社長の御眼鏡にかなう男優は見つけられずにいる。


 「もしもあんたたちが理想の男優と巡り会えたら、彼のデビュー作の相手役は、私でどう?」


 「えっ、それは嬉しいです」


 私の一存では決められないことだけど、経験のない初心者男優の相手役として、りらさんは願ってもない存在。


 「お互い、理想の男優を追い求めていこうね」


 「はい!」


 ……今後どんな出会いと運命が待ち受けているか、私もりらさんもまだ知るよしもなかった。
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