魅惑への助走
 「上杉くん、どうしてここに」


 「どうしてって、ここは俺のバイト先で、今もまだバイト中なんだけど」


 そうだった。


 近所のコンビニでバイトしているというのは、ここだった。


 「明美はどうしてここに? 今晩は職場の飲み会だったのでは?」


 「早く終わったから。会いたいなと思って、さっき上杉くんのアパートの前まで行ったんだけど、留守だったから」


 「俺、午前零時まで出番だから、それが終わったら」


 元々は上杉くんの出番じゃなかったのに、深夜担当の子が零時まで出られなくなってしまったので。


 連絡があって、急遽上杉くんが出勤することになったようだ。


 午前零時まであと数分。


 店の前のゴミ箱の整頓を終えればほぼ勤務終了、それから制服のエプロンを脱いだりして、十分後には店から出られるとのことで。


 終わるまで店の外で待っていることにした。
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