魅惑への助走
 「おやすみなさい」


 シャワーを浴びた後、上杉くんから借りたTシャツをパジャマ代わりに、ベッドに入った。


 狭いシングルベッド、より密接に感じられる。


 優しく抱きしめられ、髪の毛に触れられているうちに徐々に気持ちが落ち着いてくる。


 数少ない彼氏との逢瀬の夜、抱き合って繋がり合うことなしでは意味がないと信じていたけれど。


 こうやって温もりを分かち合うだけでも、十分に満たされることを改めて思い知らされた夜だった。
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