魅惑への助走
 ……実は撮影前に、榊原先輩執筆の台本を、序盤だけちらっと読ませてもらっていた。


 主人公の椿ちゃんは、アジアの某独裁国家から送り込まれた、暗殺者。


 独裁国家の野望を邪魔する日本を懲らしめるため、総理大臣暗殺を命じられている。


 日本人とのハーフで外見も怪しまれないし、訓練された身のこなしで巧みに街に溶け込んでいる。


 そんな彼女の任務達成に際し、最大の障害となっているのが、総理大臣のボディーガード。


 世界最強のスナイパーと称され、狙った獲物は百発百中という銃の使い手で、さすがの彼女も迂闊には近づけない。


 そこで色仕掛けを企む。


 彼を殺すために近づき、隙を窺い続けたはずが……。


 いつしか彼女は彼にはまってしまう。


 夜を重ねるうちに、自らの使命すら疎ましく感じるほどに。


 だが国家から、彼女の携帯電話に最終通告が。


 一両日中に任務を果たさないと、国に残した彼女の家族もただじゃ済まないと……。
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