魅惑への助走
 apetiteって英単語、大学受験の時に見たことある、と口にしたのがきっかけで。


 大学はどこ? って話になった。


 すると葛城さんと私は、同じ大学の卒業生であることが判明。


 「えーっ明美ちゃんも? 意外」


 同じ文学部系統だけど、学部が異なる。


 それでもいくつか共通の授業を選択し、同じ先生の講義を受けていたりした。


 年齢差が十歳あるため、もちろん同時期に通ってはいないけれど。


 「うちの大学、巨大だし。院生を含む在校生全員合わせたら、何万人も在学しているのかな。キャンパスが離れている場合もあるし、同じ大学でも一度も会えないままの人って多いよね」


 「同学年で同学部、学科が同じでも、全然会えない人すらいるくらいですし」


 「そんな中、ここで二人がこうやって食事をしているのも、何らかの縁ということで」


 やがてパスタやメインディッシュが運ばれてきたため、しばらくの間夢中になって食事をした。


 一刻も早く忘れ物について尋ねる必要があるのだけど、なかなかタイミングが掴めずにいた。
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