魅惑への助走
 「あの、そろそろ忘れ物を……」


 食事を終えると、カプチーノとジェラート。


 溶ける前にジェラートを食べ終わり、カプチーノを飲みながら葛城さんに尋ねた。


 「そうだね。食事も終わったことだし、そろそろお返ししなくちゃね」


 葛城さんはスーツのポケットの中から、紙袋を取り出した。


 「はい、これ」


 「……お手数お掛けしました」


 大きさからして、手袋とかパンストなどが入りそうなサイズと推測される。


 でもこの時期、手袋もパンストも使ってはいなかった。


 私の忘れ物って、やっぱり下着……?


 恐る恐る紙袋を開いた。


 するとよく梱包材として用いられる、プチプチしたやつに何かが包まれている。


 こんなに厳重に包んで、いったい何だろう……と思いながら梱包材のセロテープを剥がした。
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