魅惑への助走
体中の血が沸き立つような感覚の中、罪の意識も彼氏の面影も薄れ……。
「可愛い……」
抱かれている時、男に囁かれて最も嬉しいのは、その単純な一言かもしれない。
全てを曝け出してよかったと思える。
この人は私の体をいつしか知り尽くしていて、どうすれば一番感じるか、どんな言葉が私をさらに燃え上がらせるか、把握してしまっているようだ。
「こんなに素敵な明美を、もう他の誰にも触れさせたくないな」
二人きりの際はいつの間にか、「明美」と呼ばれるようになった。
「もう彼氏の所に帰るななんて、言ったらだめかな」
葛城さんは会うたび、そして抱き合うたびにシーツの中でいつも同じセリフを口にして、私を困らせる。
「無理です。だってあの部屋、私名義なんですから」
抱き合う充実感の中では一瞬、もう他に何もいらない気持ちを覚えたりもするけれど。
徐々に熱が冷め、我に返ってくると……嫌でも現実に引き戻される。
私には帰るべき場所と、待つ人がいる。
「まるで不倫してる若妻みたいだね」
葛城さんは苦笑するけれど、それが現実。
「可愛い……」
抱かれている時、男に囁かれて最も嬉しいのは、その単純な一言かもしれない。
全てを曝け出してよかったと思える。
この人は私の体をいつしか知り尽くしていて、どうすれば一番感じるか、どんな言葉が私をさらに燃え上がらせるか、把握してしまっているようだ。
「こんなに素敵な明美を、もう他の誰にも触れさせたくないな」
二人きりの際はいつの間にか、「明美」と呼ばれるようになった。
「もう彼氏の所に帰るななんて、言ったらだめかな」
葛城さんは会うたび、そして抱き合うたびにシーツの中でいつも同じセリフを口にして、私を困らせる。
「無理です。だってあの部屋、私名義なんですから」
抱き合う充実感の中では一瞬、もう他に何もいらない気持ちを覚えたりもするけれど。
徐々に熱が冷め、我に返ってくると……嫌でも現実に引き戻される。
私には帰るべき場所と、待つ人がいる。
「まるで不倫してる若妻みたいだね」
葛城さんは苦笑するけれど、それが現実。