魅惑への助走
「美味しい……」
「よかった。残りの分は冷めたら冷凍しておくから。また食べよう」
私は恵まれている、と思う。
同棲していると、食事の支度はだいたいの場合において女の仕事で。
最近は働いている女も大部分で、条件は男と変わらないのに、慌しく帰宅して食事の準備に追われるのはほぼ女。
感謝して食べてくれたらまだしも、一緒にいる時間が長くなるにつれて、感謝は薄れていくというし。
挙句文句言われたり、連絡なしで遅く帰ってきて「食べてきたから」と告げられ、せっかく準備した食事が無駄になってしまったり。
そのような残念な話をよく耳にするし、そのほうが普通な気がする。
なのに私は、上杉くんにいつも食事を作ってもらえて。
私の収入で生活が成り立っているという負い目があるのかもしれないけど、文句も言わずいつも美味しい食事を……。
これってすごく幸せなことだと思った。
毎日黙っていても彼氏に美味しいものを作ってもらえる女の子って、そんなに多くないと思う。
この上なく幸せなことなのかも。
「よかった。残りの分は冷めたら冷凍しておくから。また食べよう」
私は恵まれている、と思う。
同棲していると、食事の支度はだいたいの場合において女の仕事で。
最近は働いている女も大部分で、条件は男と変わらないのに、慌しく帰宅して食事の準備に追われるのはほぼ女。
感謝して食べてくれたらまだしも、一緒にいる時間が長くなるにつれて、感謝は薄れていくというし。
挙句文句言われたり、連絡なしで遅く帰ってきて「食べてきたから」と告げられ、せっかく準備した食事が無駄になってしまったり。
そのような残念な話をよく耳にするし、そのほうが普通な気がする。
なのに私は、上杉くんにいつも食事を作ってもらえて。
私の収入で生活が成り立っているという負い目があるのかもしれないけど、文句も言わずいつも美味しい食事を……。
これってすごく幸せなことだと思った。
毎日黙っていても彼氏に美味しいものを作ってもらえる女の子って、そんなに多くないと思う。
この上なく幸せなことなのかも。