魅惑への助走
上杉くんと一緒にいると気持ちが落ち着くし、安らげるのだけど……。
先立つものがないというか、経済面のことを考えると不安を感じること多数。
安楽な日々に流されて、勉強に集中できていないのも気になるし。
だから葛城さんと過ごす時は、そのような心配から解き放たれるため、魔法にかけられたシンデレラみたいにひと時のゴージャスな夢に酔いしれることができる。
お金や将来への不安など全くない世界で、何もかも満たされて刺激的。
行為の後の罪悪感からは逃れられないものの、日々の生活の重荷からの逃避もあってか、私は葛城さんに溺れていた。
葛城さんに逢っている時は、もう上杉くんとは別れなければならない、別れるのがお互いのためだ、家に帰ったら別れを告げよう……と胸に誓うのだけど。
いざ帰宅して上杉くんの笑顔に包まれ、優しくされてしまう度に決心が鈍ってしまう。
そんな行ったり来たりの日々が続いていた、冬の初めのある日のことだった。
その日は定時に業務終了。
冬至が近付いているため、五時台でも辺りはもう真っ暗。
「ただいま」
帰宅してドアを開けた。
先立つものがないというか、経済面のことを考えると不安を感じること多数。
安楽な日々に流されて、勉強に集中できていないのも気になるし。
だから葛城さんと過ごす時は、そのような心配から解き放たれるため、魔法にかけられたシンデレラみたいにひと時のゴージャスな夢に酔いしれることができる。
お金や将来への不安など全くない世界で、何もかも満たされて刺激的。
行為の後の罪悪感からは逃れられないものの、日々の生活の重荷からの逃避もあってか、私は葛城さんに溺れていた。
葛城さんに逢っている時は、もう上杉くんとは別れなければならない、別れるのがお互いのためだ、家に帰ったら別れを告げよう……と胸に誓うのだけど。
いざ帰宅して上杉くんの笑顔に包まれ、優しくされてしまう度に決心が鈍ってしまう。
そんな行ったり来たりの日々が続いていた、冬の初めのある日のことだった。
その日は定時に業務終了。
冬至が近付いているため、五時台でも辺りはもう真っ暗。
「ただいま」
帰宅してドアを開けた。