魅惑への助走
 ……ここに至るには。


 司法試験に合格するまでは、勉強に集中するようにとアドバイスした私にも責任の一端がある。


 それまでは金銭面では私がバックアップすると。


 あくまで上杉くんに勉強を頑張ってもらうための後方支援だったはずが、いつの間にか日々の安楽な生活に流されるようになっていて。


 金銭面ですっかり私に甘えるようになったばかりならず、肝心の勉強が疎かになり、来年の合格も極めて怪しい状態に。


 話を聞いて現状を察している葛城さんは、そんな上杉くんを「ヒモ」と酷評した。


 このままでは二人ともだめになると。


 傷付くのががつらくて一日延ばしになっていたけれど、そろそろ本気で決断を下さなければならないのかも。


 今回のことがきっかけで、私のそのような気持ちは加速した。


 ただ今はまず、現在進行形の問題を解決しておかなければならない。


 このままでは料金未納で携帯電話が止められるのも時間の問題なため、私が肩代わりして支払うことにした。
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