魅惑への助走
 急に声をかけられ驚いたのと、禁煙エリアなのにうっかり喫煙してしまったら法律違反!?


 などなど一瞬の間にあれこれ頭の中を駆け巡り、混乱する。


 慌てて顔を上げると、


 「葛城さん……」


 車は左ハンドルなので、路肩に車を止めるとすぐそこの位置だった。


 「ずいぶん早いですね」


 「冷たいなあ。早く来てって命令しておいて」


 「えっ?」


 「せっかく用事を二件キャンセルして、探しに来たのに」


 そうだ。


 家を飛び出して、行くあてもなく。


 とりあえず誰かに話を聞いてもらいたくて、葛城さんに電話をしたけれど仕事中なのか出てくれず。


 留守番電話にさっきのコンビニの店名は残しておいたけど、まさかピンポイントで私を見つけ出すとは。


 「どうして私がここにいるの分かったのですか」


 「禁煙エリアで煙草を吸っている、家出中の不良少女がいるって通報があったから急行した」


 「通報?」


 「いや冗談。コンビニ名を頼りに適当に走っていたら、たまたま見つけただけ」


 「まさか」


 「本当だよ。この辺一帯を走って見当たらなかったら、電話しようって思っていたところだった。なのにこんなにあっさり見つけられるなんて。やっぱり俺たちって、赤い糸で結ばれてるのかな」
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