魅惑への助走
***


 「……いつまで不良少女ごっこするのかと思ってたけど、最中にいつもの可愛い明美に戻っていてよかったよ」


 「……」


 当初は「淫行になってもいいんですか!」などとチープな小芝居を繰り返していたものの、抱かれているうちにそんな余裕もなくなっていて。


 いつもみたいに感じ、ベッドに身を沈めていた。


 「こうやってなりきってのプレーも面白いね。今度は処女喪失編なんてどう?」


 「もしかして、普通のやり方じゃ満足できなくなってきました?」


 「いや。明美の初めての時はどんな感じだったのかなって。ちょっと気になって」


 「……」


 初めての時。


 ただ怖くて痛いだけで、楽しむ余裕なんて全くなかった。


 「今度、初めての時を思い出して、演じてみてよ。きっといつもよりもそそられるからさ」


 背中から抱きしめられた。


 「明美の初めて、奪いたかったな……」


 耳元で囁く。


 「だったら私も、葛城さんの初めてが欲しかったな」


 くるっと振り返り、襲うように体を乗せた。
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