魅惑への助走
「それはそうなんですが、」
「第一、あいつって明美の話を聞く限りでは、困窮で首を吊るような弱っちょろい奴には見えないけどね。案外雑草のように、しぶとく生き延びるんじゃないのかな」
「確かに芯は強い人ですが……。だからこそ私の裏切りを知ったら、どれだけ衝撃を受けるか」
「その怒りを原動力に立ち直って、いずれ司法試験に合格でもしたら、それはそれでお互いハッピーエンドじゃないのかな。案外明美や俺を見返してやろうとして、心機一転張り切るかもよ」
「もしそうだったらいいのですが」
「まじでいずれ、俺より出世したりして。そして明美はあいつを捨てて俺を選んだことを、後悔する日が来るかも……」
「まさか」
私が「まさか」と口にしたのは。
まだ上杉くんを「捨てる」結論は出していないし。
葛城さんよりステイタスが高くなるとは……たとえ司法試験に合格したとしても、難しいと思ったし。
たとえそうなったとしても……私が自分の下した決断を悔やむ日など、訪れるはずがないと信じていたからでもある。
「第一、あいつって明美の話を聞く限りでは、困窮で首を吊るような弱っちょろい奴には見えないけどね。案外雑草のように、しぶとく生き延びるんじゃないのかな」
「確かに芯は強い人ですが……。だからこそ私の裏切りを知ったら、どれだけ衝撃を受けるか」
「その怒りを原動力に立ち直って、いずれ司法試験に合格でもしたら、それはそれでお互いハッピーエンドじゃないのかな。案外明美や俺を見返してやろうとして、心機一転張り切るかもよ」
「もしそうだったらいいのですが」
「まじでいずれ、俺より出世したりして。そして明美はあいつを捨てて俺を選んだことを、後悔する日が来るかも……」
「まさか」
私が「まさか」と口にしたのは。
まだ上杉くんを「捨てる」結論は出していないし。
葛城さんよりステイタスが高くなるとは……たとえ司法試験に合格したとしても、難しいと思ったし。
たとえそうなったとしても……私が自分の下した決断を悔やむ日など、訪れるはずがないと信じていたからでもある。