魅惑への助走
 「でも私が書いているものなんて、AVになり得ないんじゃないですか。物足りなくて居眠りしちゃいますよ」


 「居眠りするかどうかは私が判断するから、今度一度持って来てごらんなさいよ」


 ……松平監督の存在感に気圧されて。


 口車に乗せられたというか、いずれAV原作用の作品を書いてみて、監督の元へ持ち込むことになってしまった。


 「あの……」


 監督が武石さんたちのほうへと席を移動し。


 榊原先輩がトイレに行き、両隣に誰もいなくなったので。


 もうひとつ隣の席にいた樺澤さんに尋ねてみた。


 「あら武田さん。これからよろしくね」


 「さっき撮影現場に居合わせたら、スタッフの皆さんは女性ばかりでしたよね。AV撮影現場でそういうことってよくあるのでしょうか」


 「ウチくらいじゃない?」


 即答された。


 「いろいろあって、今は女性だけでの撮影を試みているの。武田さんも我々の仲間になったら、詳しく教えてあげる」


 またまた仲間入りを強要された。
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