魅惑への助走
 「イギリス!?」


 突然イギリス行きを提案された。


 ……子供の頃からずっと野球少年で、大学時代に肩の故障でプロ野球選手の夢を断念した葛城さんだったけど。


 その後別の夢を探す段階で、新たに見つけ出したものが、「いつかプロスポーツ球団のオーナーになる」という夢。


 資金集めのためもあるけれど、人脈を設ける手段として、今まで仕事を頑張ってきた。


 そしてようやく今になって、あるサッカーチーム、資金難に悩まされている地方のクラブチームのオーナーにならないかという話が舞い込んで来た。


 ただし詳細な知識のないままクラブ経営という世界に飛び込んでは失敗のリスクが高いため、海外のサッカークラブのお手伝いみたいなことを経験してから、本格的にクラブ経営を始めてみてはどうかってことになった。


 まずはサッカーの母国・イギリス(イングランド)にて、本場の感触を体験して……。


 「それはそうと、今の仕事どうするんですか。せっかく順風満帆に進んでいるのに」


 夢へと向かうステップアップのためだけに起業したという割には、成功している今の仕事。


 私は門外漢だけど、携帯電話からのウェブサイト閲覧が増大したおかげで、葛城さんの会社で提供するコンテンツは業績を拡大しているとのこと。
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