魅惑への助走
 「だけど……。昔結構頑張ったのに、なかなか日の目を見なかった。また同じ結果に終わりそうな気がするんですが」


 大学卒業後、小説家を目指して就職活動の波には乗らず。


 フリーター生活しながら小説を書き続けていた。


 しかしながら、小説家デビューの道のりはかなり険しく。


 下のほうの選考はようやく突破しても、受賞やデビューまでは結局至ることはできなかった。


 そればかりか、デビューをエサに体を要求されたことも。


 私の人生における、いわゆる「黒歴史」の一つ。


 もしもあの時、大学時代の先輩である榊原さんに偶然出会い、SWEET LOVEに入社していなければ……?


 結局SWEET LOVEにてAV製作に熱中することにより、小説家の夢は事実上途絶えてしまったものの。


 あのまま小説家の夢にすがり付き、男たちの言いなりになって体を開き続けていたところで、本当にデビューできたのかどうかは非常に疑わしい。
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