魅惑への助走
***


 私は一年近くロンドン生活を満喫した。


 新婚旅行がそのまま続いているような感じの、二人きりの世界。


 とはいえ葛城さんは忙しくて、私は一人きりの時間が多い。


 一人の時間は英会話学校や、在英日本人妻たちとの交流でそれなりに満喫。


 その分二人きりの時は、新婚当時と何も変わらぬ甘い甘い時間を過ごして。


 あまり近付きすぎて愛が色褪せてしまった前回の苦い経験を糧に、愛がいつまでも変わらないよう自らを戒めつつ。


 このまま何も変わらずにいられればいいと、強く願っていた。


 ただ、もう少ししたら日本に帰らなければならない。


 葛城さんのこっちでの研修も間もなく完了するので、それに伴い再び日本での生活が始まる。
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