魅惑への助走
 ……まさに本番が始まるというところで、試聴版はおしまいとなった。


 「続きは商品にて!」とのテロップがでかでかと表示される。


 この作品は三連作のため、試聴版はそれぞれ一分くらいに短縮されていて、その後二つの他の男優の「復讐」をテーマにした作品の試聴版が連続。


 全て見終えてから、もう一度再生ボタンを押し佐藤剣身のパートを再度閲覧。


 佐藤剣身のセリフや振る舞い、全てをチェックする。


 セリフも演技もまだ慣れない感じだけど、りらさんのリードに従って「ショウ」という青年を演じ切っている。


 いや、演じ切っているというよりも。


 このショウという役は上杉くんそのものだから、自らを曝け出していると言ったほうが相応しいのかもしれない。


 長く綺麗だったあの指がアップで映る。


 そしてりらさんの体の上を、ゆっくりと這う……。


 この後どういう絡みをするのか。


 続きは商品を購入しなければ見られないけど、想像しただけで頭がおかしくなりそう。


 「やらしい動画を見て、予行演習でもしてるの?」


 急に背後から声が。


 いつの間にか葛城さんがシャワーを終えていた。
< 576 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop