魅惑への助走
 「元カノへの復讐でAV男優ですか。そんな理由で」


 依然としてお互い言葉を選びながら会話を続けていた。


 「私もそれっぽっちの理由でAV男優として成功するほど、ここは甘い世界じゃないって思ったんだけどね。だけど社長はそれに惹かれたみたいで」


 「……最終テストしたってわけですか」


 佐藤剣身のデビュー作によると。


 元カノへの復讐が目的でAV男優を志望したショウの本気度を試すために、美人社長は自分との性行為を最終テストとして課す……。


 「あ、もしかして剣身くんのデビュー作見てくれたのかな?」


 榊原先輩は嬉しそうな表情を見せた。


 「あの場面はフィクションよフィクション。社長が目を惹いたのは、剣身くんのルックスと声。本番シーンを含め演技は回数をこなせば何とかなるって、かなりの見切り発車だったんだけどね」


 佐藤剣身の出演作品は、製作前に本人を交えて会議を行ない、そこで内容を確定させるらしい。


 剣身本人のアイディアを元に、脚本担当の榊原先輩が台本を仕上げる。


 全てが剣身の体験談というわけではなく、作品を盛り上げるためのフィクションもかなり織り交ぜられているらしい。
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