魅惑への助走
 最終テストが、社長との性行為の実演。


 もしもあれが実際にあったことだとしたら、かなりキツかった。


 そんなテストが本当に存在し、いくら適性検査の役目とはいえ上杉くんと松平社長がそんなことしていると考えただけでも……苦しかった。


 「今後もこんな感じで、剣身くんのアイディアを元に私が脚本を書いていく形になるのだけど……」


 「先輩!?」


 「もしかしたら明美ちゃんが不快に感じることがあるかもしれない。それだけが心配で」


 佐藤剣身が復讐のターゲットとして挙げている元カノが、他の誰でもないこの私で。


 復讐目当てで、私をモデルにした人物像を佐藤剣身がアイディアとして提出してきていることを榊原先輩も勘付いていたらしい。


 「さすがに実名を出されたり、明らかに私を特定させるような人物が登場しては困りますが」


 それだけは伝えておいた。


 「ただ、佐藤剣身が原案として提出するアイディアが、SWEET LOVEの作品として多くの人たちに好評を得ているようなので、妨害をするつもりはありません」


 誰が見ても私のことだと判別可能なくらいの内容だと、さすがに迷惑をこうむる可能性が高いけど。


 今のところ日常生活に被害が及んでくる気配もないし、それがSWEET LOVEの利益になっているのなら、目をつぶろうと決めた。


 SWEET LOVEにはかなり迷惑をかけたので……、せめてもの罪滅ぼし。
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