魅惑への助走
 「本当に、病院行かなくて大丈夫?」


 「はい。家でちょっと横になっていれば回復すると思います」


 熱中症とはいえ軽度と思われたので、少し休めば回復可能と予想された。


 「じゃ、込み入った話はまた今度」


 「色々お騒がせしました……」


 そのままビルの前に停まっていたタクシーに乗り込み、帰宅した。


 ふらふらとエレベーターに乗り込んで自宅まで戻り、そのまま寝室へ駆け込みベッドに横になった。


 そして今日のことを時系列順に思い返す。


 まずはストーカーまがいの手法で、SWEET LOVEの前までで向いて監視開始。


 ところが真夏日の太陽は、容赦なく私の体力を奪い、熱中症で倒れそうに。


 その時出先から戻ってきた榊原先輩に遭遇。


 SWEET LOVEの事務所に招かれ、休憩しつつ私がSWEET LOVEを辞めてから後の話をしていたところ。


 なんと松平社長が、AV男優・佐藤剣身を伴って帰社。


 佐藤剣身になった上杉くんのまなざしは、どこまでも冷たく。


 私との予期せぬ再会に動じることなく、無視したまま事務所の奥へと消えていった……。
< 610 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop