魅惑への助走
「正直に話してほしいんだけど……。明美ちゃんは葛城社長が好きになって、剣身くんと別れたの?」
「……」
先輩が上杉くんからどこまで聞いているのか予想がつかないため、どこまで答えていいものか迷った。
「かつて明美ちゃんから受けた仕打ち……裏切りを、かなり根に持っているみたいだったから」
「……いつしか同棲生活が、若者特有のおままごと状態と化していて。生活がやがて困窮してきてしまい、それに関して葛城さんに相談したことがあるのは……事実です」
最初は支えあっていたはずなのに、気がつけばただの馴れ合いに変わっていて。
司法試験の勉強も一日延ばしになってしまって、このままではお互いだめになるからその前に別れを決断したことは打ち明けた。
「そっか。明美ちゃんからすると苦渋の決断だとしても、向こうは捨てられたとみなして悔しく感じたのかもね」
別れた時は、お互いの将来のために……など綺麗事を並べていたけれど。
その直後に私がスピード結婚した情報を得たとすれば、別れる前から葛城さんと関係があったことを察して。
私の嘘が明らかになり、憤りを感じた可能性はある。
「……」
先輩が上杉くんからどこまで聞いているのか予想がつかないため、どこまで答えていいものか迷った。
「かつて明美ちゃんから受けた仕打ち……裏切りを、かなり根に持っているみたいだったから」
「……いつしか同棲生活が、若者特有のおままごと状態と化していて。生活がやがて困窮してきてしまい、それに関して葛城さんに相談したことがあるのは……事実です」
最初は支えあっていたはずなのに、気がつけばただの馴れ合いに変わっていて。
司法試験の勉強も一日延ばしになってしまって、このままではお互いだめになるからその前に別れを決断したことは打ち明けた。
「そっか。明美ちゃんからすると苦渋の決断だとしても、向こうは捨てられたとみなして悔しく感じたのかもね」
別れた時は、お互いの将来のために……など綺麗事を並べていたけれど。
その直後に私がスピード結婚した情報を得たとすれば、別れる前から葛城さんと関係があったことを察して。
私の嘘が明らかになり、憤りを感じた可能性はある。