魅惑への助走
 それから、今の私の話をした。


 葛城さんと結婚後、葛城さんの都合でロンドンで生活したこと。


 今は携帯小説サイトの看板作家として活躍し、本を何冊か出させてもらっていること。


 しかし編集部の意向で、毎回同じような甘々オフィスラブばかり書くことを要求され、いささか食傷気味であること……。


 「携帯小説サイトでは、オフィスラブが人気なんだね」


 「AV業界でも人気ジャンルですよね」


 「うん。でもたくさんある人気要素の一つ、って感じかな。同じシチュエーションばかりだったら飽きられるしね。いくらイケメン男優起用しても」


 SWEET LOVE作品は、毎回異なるテーマの作品を視聴者は期待しているようなので、いつも視聴者を驚かせるような設定を考え出す必要があった。


 次はどんな設定にするか、日々ネタ探しでワクワクしていた毎日を思い出す。


 「単刀直入に聞くけれど。明美ちゃん、SWEET LOVEに復帰するつもりはない?」
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