魅惑への助走
佐藤剣身は必ず、私と対角線上の位置に立つ。
私と最も離れた場所で、華やかなオーラをまとっている。
まるで光り輝いているかのよう、強いスポットライトを浴びている人気俳優のごとく。
しかしその光は、私の所までは届かない。
私は部屋の片隅にぽつりと、目立たずに存在しているのみ。
以前ここで働いている頃は、二人の立ち位置が今こんなことになっていようとは思いもしなかった……。
まさかAV男優になるなんて予想外だし、今のところ成功を収めて人気男優としてのステップを着実に歩んでいるなんて。
まだ「上杉くん」だった佐藤剣身と付き合っていた頃の私に、「上杉くんはいずれ人気AV男優になるんだよ」なんてタイムスリップして告げたとしても。
「まさか」と一言告げて、笑って終わりだっただろう。
私と最も離れた場所で、華やかなオーラをまとっている。
まるで光り輝いているかのよう、強いスポットライトを浴びている人気俳優のごとく。
しかしその光は、私の所までは届かない。
私は部屋の片隅にぽつりと、目立たずに存在しているのみ。
以前ここで働いている頃は、二人の立ち位置が今こんなことになっていようとは思いもしなかった……。
まさかAV男優になるなんて予想外だし、今のところ成功を収めて人気男優としてのステップを着実に歩んでいるなんて。
まだ「上杉くん」だった佐藤剣身と付き合っていた頃の私に、「上杉くんはいずれ人気AV男優になるんだよ」なんてタイムスリップして告げたとしても。
「まさか」と一言告げて、笑って終わりだっただろう。