魅惑への助走
 「とんでもない極論のように聞こえるけど……。それでも留守の間、一人でずっと考え抜いた末の結論なのかな」


 「……」


 その通りだった。


 葛城さんがいないこの一週間とちょっと、これからどうするべきかどうか、あれこれ考えて。


 これしかないという結論に達した。


 私が自分のやりたい道を選ぶには、今の生活を手放さなければならない。


 葛城さんに迷惑がかかってしまう。


 これからサッカークラブの運営に携わろうとする葛城さんに、アダルトビデオ業界に関わる妻がいるとの情報が広まっては好ましくない。


 サッカークラブの運営という子供に夢を与える仕事。


 選手のみならずスタッフ、フロントも高潔性が求められる。


 オーナーの妻がアダルトビデオ製作の仕事をしていると知れ渡っては、大問題となるのが必須。


 私が自分の思いを貫く以上、葛城さんのそばにいることはあきらめなければならない。


 それが最終的な結論だった。
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