公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「なにがおかしいのよ」
「随分と初々しい反応をするようになったと思ってな。瞳を濁して俺に色仕掛けを企んだお前はどこへいった? 俺に惚れて、純朴な少女に変わったのか?」
「違うわ。あなたといると調子が狂うだけよ。私は私。肉と知識が身についても、心は変わらず黒いままよ」
「それはよかった。白い心では社交界をうまく渡っていけないからな。だが、クレアの腹黒さなど可愛いものだ。上には上がいることを、いずれお前は知ることになるだろう」
上には上……それはジェイル様のことかしら。
それともアクベス侯爵や他の有力貴族のこと?
彼の言わんとしていることのすべてを理解できずに考えさせられたが、お陰で心を冷やすことができた。
動悸を静めて、羞恥心が戻ってこないうちにさっさと裸になってしまおうと、私はドレスの胸のボタンを外し始めた。
三つ目まで外したら、「なにをしている?」とおかしな問いを投げかけられる。