公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ゴラスで悩み苦しみ涙したことも、すべては彼の策略の内。
視察に来なかったのは、私に会わないという彼の決意ではなく、私に戻りたいという気持ちにさせるためだったのだ。
なんという、腹黒さなの……。
悔しい気持ちで「私はまんまとあなたの策にはめられたのね」と呟けば、腕を引っ張られてその胸に飛び込むことになった。
そのままベッドにふたりで倒れ込み、仰向けにされ、私の上に彼が乗り上がる。
ベッドサイドのテーブルには、橙色の光を揺らすランプ。
広いこの部屋に灯されているのは、壁のスコンスひとつとそれだけで、琥珀色の双眸にはチラチラと揺れる炎が映り込んでいた。
彼はまだ男の色香を抑えている。
私たちの関係を今あるものより深いものにするために、真面目な顔をして、私の覚悟を聞いてきた。
「俺の妻になりたいのならば、黒く淀んだ争いに巻き込まれることになる。綺麗な心のままではいられんぞ。それでもいいのか?」