公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
銀貨が一枚と、五十セルダ。
銀貨二枚にはなると思っていたのに、それより五十セルダも少ないわ。
女性店主に価格交渉しても、「嫌なら買い取らないよ」と困る言葉を言われてしまい、諦めて予想より少ないお金を手に質屋を出ることになった。
宿の客からもらったチップと、ドリスがくれた銀貨を足して、二日分の薬が買えると思ったのに、残念だわ。
今月分の私の給料は、これまでの薬代にとっくに消えているし、明日の分は明日、どうにかするしかないわね。
その後は薬屋で銀貨二枚を支払って、一日分の薬を買う。
この町の薬価は恐ろしく高い。
医者の診察を受けられるのも金持ちじゃないと到底無理で、その理由は暴君、ゲルディバラ伯爵が法外な税をかけているからだ。
軍備に多額の資金を投入し、領民が飢えても領土だけを守れればいいという考えの君主に、私たちは従うしかなくて……。
高価な薬を手に薬屋を出た私は、西へと進む。
ゴラスの西方には小麦とじゃがいもの農地が広がっている。
三十分ほどかけて町を抜け、左右に広がる畑を見ながらさらに二十分をかけてなだらかな坂道を登り、丘のてっぺん近くまでやってきた。