公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

そこにある小さな菜園では、日焼けした肌の子供たちが自分たちの食料となる作物の手入れに勤しんでいた。

私の姿を見つけると、二十人ほどが一斉に駆け寄ってきて、たちまち眩しい笑顔に囲まれた。


「お姉ちゃん、待ってたわ! あのね、リリはね、あそこからあそこまでの雑草をひとりで全部抜いたのよ」

「そう、頑張ったのね。リリは偉いわ」

「クレア姉ちゃん、僕は開墾中の畑でこんなに大きな石を掘り起こしたんだよ。それでこうやって転がして大変だったよ」

「ボブは力持ちね。頼もしいわ」


年齢は様々で、六歳から十一歳までの子供たち。

それ以下の幼い子は、菜園の奥にある建物の中で遊んでいる。


ここは孤児院。

親が亡くなったり、貧しさのあまりに子供を育てられなくなったりといった理由で、可哀想な子供たちがここで暮らしているのだ。

孤児院が必要な根本的な原因は、ゴラスの悪政にある。

領民を苦しめるばかりで、困窮する生活を顧みないゲルディバラ伯爵。

農民は収益の八割を税として徴収され、食い繋ぐだけで精一杯。

町に暮らす民だって、これといった産業のない町で得られる金子は少なく、物価は高い。

品物にかけられている税収で肥えるのは、暴君ばかりだ。

文句を言えばすぐに投獄され、そのせいで親を失った子供もここにいた。


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