公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
孤児院を営んでいるのはシスターで、修道院からの足りない資金援助を頼りに、四十人ほどの子供たちを育てていた。
まだあどけない顔をした十一歳以下の子供たちでも、自分の食べる野菜を自分で作らなければならなくて、不憫で泣けてくる。
そんな私も幼い頃の二年間を、ここで過ごしていたのだけれど……。
大変な生い立ちを抱えながらも、笑顔で話しかけてくる子供たち。
その中で一番年長の十一歳の少年、リッキーが、私の手に薬の紙袋しかないことに気づいて残念そうに言った。
「今日もお土産なし? チーズもベーコンも、しばらく食べてないよ」
「ごめんね……。お金が足りなくて買えなかったの。今度は買ってこれるように頑張るからね」
以前の私は、ここに来るときには自給自足で賄えない肉や乳製品を買ってきていた。
しかし、金策に苦しむ最近は、一片のチーズさえ買う余裕はない。
舌打ちしたリッキーの頭を叩いたのは、しっかり者の十歳の少女、ドナだった。
「クレアはメアリーのために薬を買ってきてくれるのに、なにワガママ言ってるのよ。薬がどれだけ高いのか知ってるでしょ?」