同居人は国民的アイドル
バカ希が出ていった楽屋のドアを見ながらそう決意を固めていると。
バカ希と入れ替わるように、そのドアから翔が入ってきた。
その手には、俺の大っ嫌いな「あれ」が大量に抱えられていて。
「翔、それ…………」
「…………トマトだけど」
心なしか声が震えてる俺に気づいてないのか、翔が淡々と答える。
ていうか…………
「なんでそんなに…………」
「さっき廊下で斎藤農園のおじさんに会って。
いっぱい持ってきたからあげるよって言われたから貰った」
あー、もうほんと最悪。
トマトプリン食わされて気分悪いのに、ガチのトマトまで出てきた。
反射的に背を向けて、あの赤色の物体が視界に入らないようにする。